* 君への愛が強すぎて *










俺は見たんだ


姉が男に抱き締められているところを


勿論、姉が願ってやってもらった事じゃない


でも...胸が痛いじゃないか





夕方というよりは夜に近付いた6時30過ぎ、

高見は部活を終えて家に帰宅した

家に戻れば何時ものように仕事が夜中まで続く両親に変わって

姉である が台所に立っている

高見はそれを確認するとリビングのソファに鞄を下ろして

台所の冷蔵庫を大袈裟に開ける

その時始めて弟である高見伊知郎の帰りを知った

はフライパンを火から下ろしながら高見にお帰りと言う



「今日は早かったね」

「うん、明日は試合だから体調を調える為に早めに終らせたんだ」

「そっかぁ〜明日かぁ〜見に行きたかったけどお姉ちゃん教生だから
明日は学校に行かなくちゃ」



そう、3つ年上である は大学の教職科へと進んで

母校である王城に教生として来ていた

高見は苦しい胸の高鳴りを抑えて の顔を見ていた



「あ、今日お父さんもお母さんも職場に泊るって」

「珍しい事じゃないけどね」

「まぁね、お腹空いた?もう出来るからお皿だしてくれる?」

「解った」



得に会話は無いけれど

静かに摂る食事も暖かくて

でも今はそれが冷たく感じる

きっとそれは今日の放課後の所為


どうして同じ教生に抱き締められてたのさ


どうして突き離さないのさ


どうして何も言わないんだ


俺が見た事気付いてるだろ?


喉まで出掛かって飲み込む言葉、高見はただ黙々と夕食を食べた



食べ終えて、食器を洗うのは俺の勤め

大切な腕や手だからと はいつも食器の量を最小限にしてくれる

姉はいつも優しい

そんな姉が昔から大好きだ

それが何時の間にこんな気持ちへと変わったんだろう


食器を洗っている間、 はいつも通りに風呂に入る

そこにタオルを運ぶのも俺の仕事

置いたらそそくさと立去るのが何時もだ


でも...今日だけはそうは行かない
だってこんなにも    胸が苦しいんだもの



「伊知郎〜ボイラー落してくれる?」

「解った」



浴室から聞える声

モザイクがかった扉越しに解る肌の色

何も知らずに出てくる は肌を桃色に染上げていた



「わっ、伊知郎まだいたの!?」

「ああ......ねぇ、



何時もと違う呼び方に躊躇ったのか

はタオルを手に後ろへ下がる

何時もなら姉さんと呼んでいるから驚くのは無理も無い

本当は名前で呼びたいと想っても

親の居る前では駄目だからと頑なに譲らない だったから



「伊知郎?どうしちゃったの?」

「何も?ただ理由を聞かなくちゃどうしようもなくなっただけ」

「理由?何?」

「気付いてただろ?俺が見てた事」



壁に押し当った はもう何処へも逃げられない

曇った眼鏡が邪魔で外したそのしたは

何時もは優し気な瞳が今じゃ鋭く光っている

こうなった自分はきっと怖いんだろう

そう確信できるほど は怯えているように見えていた



「あれは...そうじゃなくて」

「じゃあどういう事さ」

「告白されて...それで」

「...俺要らない?もう...要らない?」



自分でも驚くほど哀し気に言っただろう

高見は知らず知らずに頬に雫を流していた



「伊知郎ッ!」

「俺...誰よりも が好きなのに...大好きなのに」



自分より背の低い姉にすがり付くように泣く様は実に滑稽だろう

そう思っても涙は止まらない

まさかここまで姉を... を愛していたなんて

止まらない涙が の渇き始めた肌をまた濡らす

その時フと暖かいものに包まれた事に気付き

高見は顔を上げた

優しい顔で が微笑んでいる

そう思うと額と額がくっ付いて、高見は

さっきよりも強く抱き締められた



「聞きなさい、お莫迦さん。最後まで見てなかったくせに」

...?」

「女の子が男の子の力に対抗するには時間が掛かるのよ?」



それで解らないほど馬鹿じゃない

つまりは逃げた後すぐに は男教生を突き放したって事

自分で思うがなんて単純な性格なんだろう

次の言葉で更に高見の心は満たされる



「私も伊知郎大好き」



人はこれを近親相姦などという

それがなんだっていうのだろう

男と女、愛し愛され惹かれ合う

それだけで良い、姉弟だからって関係ない

この世はすべて自由恋愛

互いに付けた唇は離れる事を知らないだろう





翌日、腰が痛いと怒りつつもお弁当を用意してくれた

に、抱擁を交わして いざ試合へと望む

試合は見事勝利し、月曜には有り得ないくらい憎かった男教生に

合った時は勝利の笑みさえ向けていた

そんな高見は自分に勝利の旗を上げただろう






〜fin〜









=後書きと書いて言い逃れ=

ん〜...微エロ?
ぶっちゃけちゃうと裏書く勢いでした!
まぁ、一応リク夢(カミノヒメタル殿)
っつーことで......ぎゃっ(誰かに飛び膝蹴りされた
でもこの高見で裏書く予定です
いつになるかは解りませんが
それはもう本気マジモードで
まぁ、ヘタレな北斗ですから、期待出来ませんけどね?
あっ、勿論裏は予定として以下の人達を書くつもりです
進・高見・筧・雲水・ルイ・十文字(?)・キッド(!?)
他に誰か居ますか? え?蛭魔さんがいない?それは椿..(ボソボソ
取り敢えず以上の方々を書こうと創作中で....
あ、以上の中からこいつは是非!というのがありましたら
カキコに書きなぐって下さい、一番多かった奴から書きます(多分)
ついでに設定とか入れても オプションとかね?
ほら、相手の性格に鬼畜とか、ヒロインに何かさせるとか
変態路線行っても“多分”書きますよ(笑)
ここまで付合って下さいまして有難う御座いました。